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DISTILLERY

宮城峡蒸溜所

Miyagikyo Distillery

基本情報

所在地宮城県仙台市青葉区ニッカ1番地[1]
運営ニッカウヰスキー(2001年からアサヒビールのグループ)[2]
竣工1969年5月10日[3][2]
仕込み水新川の伏流水[4][5]
主な蒸溜器バルジ型のポットスチル8基(初溜4基・再溜4基、蒸気による間接加熱)、カフェ式連続式蒸溜機(カフェスチル)2基(2015年時点)[4][6][7][8]
貯蔵庫敷地内に26棟(2015年時点)[6]
見学ガイドツアーは無料・予約制(日本語のみ)。予約なしで入れるビジターセンターもある(2026年9月時点)[9][10][1]

目次

  1. ふたつの川が出会う場所
  2. ブランドが語る物語
  3. ポットスチルは8基、蒸気でじっくり蒸溜する
  4. カフェスチルは2基、ジンもここから生まれる
  5. 見学
  6. 年表

ふたつの川が出会う場所

宮城峡蒸溜所は、仙台市の西、作並にある緑の峡谷に建っています。1969年、ニッカウヰスキーが余市に次ぐ2番目の蒸溜所として建てました。[4][5][3]

広瀬川と新川が合流する場所です。一年を通して霧や靄が立ち込め、原酒は冷涼な気候の中でおだやかに熟成するとニッカは紹介しています。仕込み水は、蔵王連峰から流れてくる新川の伏流水です。ニッカによると、この水は日本各地の蒸溜所が使う水の中でも硬度が低く、ウイスキーづくりの妨げになる成分がほとんど含まれていません。[3][4][5]

着工は1968年3月。取得した土地は約17万㎡でした。WHISKY Magazine Japanによると、木の伐採は最小限にとどめ、建物は周囲の緑に映える赤いレンガ色でそろえています。鎌倉山を借景にし、坂の傾斜もそのまま残しました。ニッカも、電線をすべて地下に埋め、工程ごとに建物の床の高さを変えて敷地の起伏を生かしたと紹介しています。[3][4]

ブランドが語る物語

ニッカによると、竹鶴政孝は初めてこの地を訪れたとき、新川の清流で持参のブラックニッカを割って飲み、その場で蒸溜所の建設を決めたと言われています。WHISKY Magazine Japanは、そのとき竹鶴が「実に素晴らしい水だ。ここに決めたぞ」と言ったと伝えています。[4][3]

同誌によると、竹鶴には国内で複数のモルトウイスキー蒸溜所を運営するという夢がありました。その実現を後押ししたのは、息子の威だったといいます。[3]

2015年の同誌の取材で、当時の工場長の長谷川裕寿氏は、竹鶴が宮城峡に求めたのは「なによりも『余市と違う個性』」だったと語っています。宮城峡の原酒を初めて口にした竹鶴は「違う!」と言い、それは余市と明らかに違うことを喜ぶ言葉だったそうです。[11]

最初の原酒にも話が残っています。WHISKY Magazine Japanによると、竣工前の1969年3月に試作の原酒「ファーストドロップ」が蒸溜され、竹鶴はそれを味わったあと、感謝を込めて新川に流したといいます。このファーストドロップを50年熟成させた原酒は、竣工50周年の記念品「シングルモルト宮城峡 リミテッドエディション2019」に使われました。700本限定で、2019年3月12日に発売が予定されました。[12]

ポットスチルは8基、蒸気でじっくり蒸溜する

モルトウイスキーの工程は、WHISKY Magazine Japanが2015年に取材しています。糖化は1バッチ8時間で、1日3バッチ。発酵には60klのタンクが22基あり、72時間かけて発酵させます。[6][10]

蒸溜器は、胴がふくらんだバルジ型のポットスチルで、ラインアームが上を向いています。手前の4基がA系、奥の4基がB系で、それぞれ初溜2基と再溜2基が対になっています。加熱には蒸気を使い、ニッカは、蒸気で釜を熱して130℃ほどでじっくり蒸溜すると説明しています。[4][6]

ねらいは、余市との違いでした。同誌は、力強い余市とは異なる、華やかで芳醇な香りを目指した形だと伝えており、ニッカも華やかでフルーティーな原酒ができると紹介しています。麦芽はノンピートかライトピーテッド。原酒は63%に調整して樽に詰め、敷地内の26棟の貯蔵庫で寝かせます。樽の約95%は栃木の自社製樽工場でつくったものです(いずれも2015年の取材時点)。[3][4][6]

カフェスチルは2基、ジンもここから生まれる

グレーンウイスキー用には、カフェ式連続式蒸溜機(カフェスチル)があります。西宮工場から1999年に移され、同年9月から本格的に動き始めました。WHISKY Magazine Japanは、これで宮城峡がモルトとグレーンの両方をつくる「世界でもあまり例のない」工場になったと伝えています。[2][3][13]

カフェスチルは2基。1号基は1963年に西宮へ導入されたもので、2号基は一回り大きく、1966年に増設されました。同誌が2015年に取材したときは、ふだん動いているのは2号基だけでした。一度に大量のスピリッツができるので、稼働は月に数回。動かすと1週間続けて運転するそうです。[7][8]

もろみは「もろみ塔」の上から注がれ、24段に仕切られた銅の棚板の穴を伝って下りながら、蒸気でアルコール分を気化させます。次の「精溜塔」は42段あり、ふつうは32段目あたりで抜き取って、度数94〜95%の蒸溜液にします。ニッカの英語サイトは、この蒸溜機を扱いにくく効率もよくないとしたうえで、原料由来の香りが残り、クリーミーな質感が出ると説明しています。[7][8]

2026年9月時点のニッカの蒸溜所紹介によると、この蒸溜機からはカフェグレーンのほか、カフェモルト、カフェジン、カフェウオッカが商品化されています。2013年に開発されたカフェモルトは大麦麦芽100%ですが、ポットスチルで蒸溜していないため、グレーンウイスキーに分類されます。2017年には、インターナショナル・スピリッツ・チャレンジでグレーンウイスキー部門の最高賞「トロフィー」を受けました。[4][8][14]

ジンが加わったのも2017年です。カフェ蒸溜液をベースにした「ニッカ カフェジン」は、山椒や和柑橘などのボタニカルをカフェ蒸溜液に漬けて再蒸溜し、ブレンドしてつくられます。米国の輸入元は、カフェジンが宮城峡蒸溜所で蒸溜されると紹介しています。[13][15]

2019年には増産の計画も出ました。アサヒビールは2019年、ニッカの設備に約65億円を投資すると発表しました。宮城峡では、グレーンウイスキーを増やすためにカフェスチルの蒸溜工程を一部自動化し、貯蔵庫を1棟新設する計画でした。WHISKY Magazine Japanは同じ2019年、宮城峡のその年の生産量が2015年比で約180%になる見込みだと伝えています。[16][12]

見学

2026年9月時点で、ガイドツアーは無料です。ただし予約制で、申し込みは前日まで。翌月分は毎月15日から受け付けます。1人から9人まではウェブで申し込めます。案内は日本語のみですが、英語のパンフレットと、スマートフォンで使える多言語の翻訳があります。[9][1]

ツアーの受付はビジターセンターです。ピートで麦芽を乾かしたキルン塔は、今は使われていませんが、蒸溜所の象徴として残されています。仕込み・発酵棟、ポットスチルの蒸溜棟、貯蔵庫を見て、最後にシングルモルト宮城峡などを試飲します。有料のテイスティングバーとギフトショップもあり、ビジターセンターには予約なしで入れます。[10]

最寄りはJR仙山線の作並駅で、仙台駅から約40分です。作並駅からは予約不要の無料シャトルバスが出ています。休業日は、2026年9月時点で12月23日から翌年1月7日までと、8月18日から20日までです。[1][9]

年表

1934年ニッカウヰスキーの前身「大日本果汁」が設立され、同年10月に余市蒸溜所が完成[2]
1962年竹鶴政孝がカフェスチルの導入を決め、グラスゴーのブレア・キャンベル・マクリーン社に発注[13][17]
1963年カフェスチル(1号基)を西宮工場に据え付ける(操業開始は1964年)[13][2][7]
1966年一回り大きいカフェスチル2号基を増設[7][8]
1968年3月約17万㎡の土地を取得し、宮城峡蒸溜所の建設に着工[3]
1969年5月10日宮城峡蒸溜所が竣工[3][2]
1999年カフェスチルを西宮工場から宮城峡蒸溜所へ移設(同年9月から本格稼働)[2][13][3]
2001年ニッカウヰスキーがアサヒビールのグループに加わる[2]
2017年6月カフェスチルの蒸溜液をベースにした「ニッカ カフェジン」「ニッカ カフェウオッカ」を発売(6月27日)[13][2]
2017年7月「ニッカ カフェモルト」がインターナショナル・スピリッツ・チャレンジ2017のグレーンウイスキー部門でトロフィーを受賞(発表は7月13日)[14]
2019年3月竣工50周年を記念し「シングルモルト宮城峡 リミテッドエディション2019」を700本限定で発売予定と発表(発売予定日は3月12日)[12]
2019年10月ニッカの設備への約65億円の投資を発表。宮城峡ではカフェスチルの蒸溜工程の一部自動化と貯蔵庫1棟の新設を計画[16]

宮城峡蒸溜所の銘柄

参考資料

  1. ニッカウヰスキー
  2. Nikka Whisky
  3. WHISKY Magazine Japan
  4. ニッカウヰスキー
  5. Nikka Whisky
  6. WHISKY Magazine Japan(The Second, but Only One ― 宮城峡蒸溜所 前半、2015年6月24日)
  7. WHISKY Magazine Japan(「カフェ式蒸溜機」を知る 後半、2015年7月13日)
  8. Nikka Whisky
  9. Nikka Whisky(宮城峡蒸溜所 よくある質問)
  10. Nikka Whisky(宮城峡蒸溜所 施設案内)
  11. WHISKY Magazine Japan(The Second, but Only One ― 宮城峡蒸溜所 後半、2015年6月30日)
  12. WHISKY Magazine Japan(宮城峡蒸溜所50周年 後半、2019年3月6日)
  13. アサヒビール(ニュースリリース 2017年5月11日)
  14. アサヒビール(ニュースリリース 2017年7月13日)
  15. Hotaling & Co.(米国輸入元)
  16. アサヒビール(アサヒグループホールディングス サイト掲載のニュースリリース 2019年10月7日)
  17. WHISKY Magazine Japan(「カフェ式蒸溜機」を知る 前半、2015年7月7日)

最終更新:2026-09-29 内容の誤りを知らせる