京都蒸溜所
The Kyoto Distillery
基本情報
| 最初の蒸溜所 | 京都市南区吉祥院(2016年8月稼働、元倉庫の建物)[1][2] |
|---|---|
| 新蒸溜所 | 京都府亀岡市(2025年10月7日お披露目・本格稼働)[3][4][5] |
| 設立 | 2014年[6][7] |
| 創業者 | デービッド・クロール、角田紀子・クロール、マーチン・ミラー[6][7][8] |
| 主な蒸溜器 | ドイツ・カール社製。亀岡は1,000リットルのポットスチル4基、旧蒸溜所から移した140リットル・450リットルの2基は試験蒸溜と少量生産に使用[9][10][11] |
| エネルギー | 化石燃料を使わない電気ボイラー。電力は再生可能エネルギー(亀岡)[3][9] |
| ヘッドディスティラー | アレックス・デービス(2016〜2017年時点)[12][11][2] |
| 見学 | 亀岡の蒸溜所は一般公開なし(2025年時点)。京都市中心部にブランドハウス「季の美 House」[13][14] |
| 国内販売 | ペルノ・リカール・ジャパン(2025年時点)[3] |
目次
ウイスキーの仕事から始まった蒸溜所
京都蒸溜所は、2014年にデービッド・クロール、角田紀子・クロール、マーチン・ミラーが設立しました。2020年のペルノ・リカールの発表は、ここを「日本初のジン専用蒸溜所」と紹介しています。[6][7][8]
クロール夫妻は1990年代に東京でウイスキーの輸入代理店を立ち上げ、スコットランドのシングルモルトを日本に紹介してきました。2000年には日本語版のウイスキーマガジンを出版し、ウイスキー・ライヴも開いています。ミラーは当時、英国のウイスキーマガジンの編集長で、3人はラグビー観戦を通じて親しくなり、2005年にNumber One Drinks社を設立しました。[6]
ジンとの縁もあります。公式サイトによると、デービッドは英国のジンギルドで「レクティファイア」に選ばれ、ミラーもジンギルドの会員です。クロール夫妻は京都への思いがとりわけ強かった、と公式サイトは紹介しています。[6]
吉祥院の倉庫で始まった
最初の蒸溜所は、京都市南区吉祥院にありました。2016年のDrink Planetの取材によると、もとは倉庫だった天井の高い建物で、敷地は80坪。2016年8月に稼働を始めています。Bar-Timesは、同じ8月に酒造免許を取得したと伝えました。[2][1][15]
希望どおりの場所ではありませんでした。クロールは本当はもっと市街地に建てたかったものの、世界遺産を抱え木造建築の多い地域では、危険物を扱う施設の認可が下りなかったと、同じ取材で語られています。[16]
設備の中心は、ドイツのカール社に特注した銅製の蒸溜器2基です。容量は140リットルと450リットルで、The Spirits Businessはどちらもボタニカルを入れるかごを備えた「ハイブリッド」型と紹介しています。瓶詰めの機械は4台ありました。[11][2]
人数は少なめでした。ヘッドディスティラーは英国出身のアレックス・デービス。ノッティンガム大学で生化学を、ヘリオット・ワット大学で醸造と蒸溜を学び、チェイス蒸溜所を経てコッツウォルズ蒸溜所で「コッツウォルズ ジン」を手がけていた人物です。銀座のバーテンダーからスコットランドのアラン蒸溜所に渡り、ウイスキーづくりを2年経験した元木陽一が、2015年12月にディスティラーとして加わりました。元木は取材に「京都に骨を埋める覚悟」と語っています。2016年時点で製造を担うのはこの2人。品質設計には、日本の蒸溜所でマネージャーなどを務めた洋酒研究家の大西正巳が参画しました。[16][11]
生産量は年間9万本を目標に掲げ、初年の2016年は3万本を予定していました。The Spirits Businessの2017年の記事では、1回の仕込みに約3週間をかけ、約2,000リットルを瓶詰めしていたとあります。[16][15][11]
ペルノ・リカールとの提携
2020年3月、京都蒸溜所はペルノ・リカールとの資本提携を発表しました。ペルノ・リカールの発表によると、出資金は主に新しい蒸溜所の建設にあてられることになり、創業者3人も引き続き事業に関わります。[7][8]
季の美は、同社のジン事業の枠組み「ジン・ハブ」に、ビーフィーター、プリマス、マルフィ、モンキー47と並んで加わりました。2025年のペルノ・リカール・ジャパンの発表では京都蒸溜所を「ペルノ・リカールグループ傘下」とし、同社が季の美を日本国内で独占的に取り扱うとしています。[8][3]
亀岡の新蒸溜所は、蒸溜器を大きくせず数を増やした
場所は京都府亀岡市です。2024年6月に神職を招いて地鎮祭を行い、その15か月後の2025年10月7日にお披露目され、本格的に稼働しています。計画発表時、ペルノ・リカールはGlobal Drinks Intelに、費用を2,500万ユーロ、生産能力を旧蒸溜所の少なくとも5倍と説明していました。[3][5][4]
主力の蒸溜器は、旧蒸溜所と同じドイツのカール社製で、1,000リットルのポットスチルが4基。吉祥院で使っていた140リットルと450リットルの2基も移設され、公式サイトによると試験蒸溜と少量生産に使われています。京都蒸溜所代表取締役の長井大幸氏は、大きな蒸溜器を一つだけ設置することもできたが、緻密な蒸溜工程を維持することが重要だと考え、複数の蒸溜器を選んだと話しています。6つのグループに分けて別々に蒸溜し、ブレンドする方法を続けるためです。[9][10][13][3]
工程の多くは半自動のシステムに切り替わり、公式サイトは精度と安全性が大きく高まったとしています。蒸溜技師は引き続きエンジニアと密に連携して、工程を磨いているそうです。[9][10]
もうひとつの特徴はエネルギーです。化石燃料は使いません。ボイラーは電気式で、その電力を風力・水力・太陽光・地熱の再生可能エネルギーでまかなっています。[3][9]
2025年時点で、亀岡の蒸溜所は一般公開されていません。季の美の世界観は京都市内の季の美 Houseで体験できる、とDrink Planetは案内しています。[13]
品評会での評価
英国の品評会IWSC(インターナショナル・ワイン&スピリッツ・コンペティション)は、京都蒸溜所をInternational Gin Producerトロフィーに2度選んでいます。2018年と2021年です。公式サイトはこれを「インターナショナル ジン プロデューサー オブ ザ イヤー」の2度の受賞と紹介し、70か国へ輸出しているとも書いています。[17][18][6]
京都の町家のブランドハウス
京都市役所の近くに、ブランドハウス「季の美 House」があります。築100年以上の町家で、もとは木材商の建物でした。土壁や梁、石畳を生かした改装は、ロンドン大学バートレット校で建築を学んだ創業者の長男、ダグラス・角田・クロールが手がけています。[14]
1階の「お店の間」では、オリジナルグッズや店舗限定の商品を扱っています。京都の清課堂による手づくりのアイススタンプや、唐紙文様をあしらったリーデルのマティーニグラスもここに並びます。同じ1階には、飲み比べやクラシックカクテル、軽食を出す「季の美の間」と、19世紀のヴィクトリア朝様式を再現した会員制の「ジンパレス」があります。[14]
2階は展示の階です。「展示の間」ではジンの歴史や種類、季の美の原料と製造工程を紹介しています。「混和の間」では完全予約制のテイスティングセミナーを、土曜と日曜の14時から1時間、最大10名で開いています(2026年時点の公式サイトによる)。[14]
年表
| 1985年 | デービッド・クロールが初めて京都を訪れる[16] |
|---|---|
| 1990年代 | デービッド・クロールと角田紀子・クロールが、東京にウイスキーの輸入代理店を設立[6] |
| 2000年 | 日本語版のウイスキーマガジンを出版し、ウイスキー・ライヴのイベントを開催[6] |
| 2005年 | Number One Drinks社を設立[6] |
| 2014年 | 京都蒸溜所を設立[6][7] |
| 2016年8月 | 酒造免許を取得し、京都市南区吉祥院の蒸溜所が稼働[15][2] |
| 2016年10月14日 | 「季の美 京都ドライジン」を発売[6][16][15] |
| 2018年 | IWSCのInternational Gin Producerトロフィーを受賞[17][19] |
| 2020年3月 | ペルノ・リカールとの資本提携を発表[7][8] |
| 2021年 | IWSCのInternational Gin Producerトロフィーを再び受賞[18] |
| 2024年6月 | 京都府亀岡市の新蒸溜所の地鎮祭[3][20] |
| 2025年10月7日 | 亀岡市の新蒸溜所をお披露目し、本格稼働(ペルノ・リカール・ジャパン発表)[3][4][5] |
京都蒸溜所の銘柄
参考資料
- Difford's Guide
- Drink Planet
- ペルノ・リカール・ジャパン(プレスリリース/PR TIMES)
- Global Drinks Intel
- The Kyoto Distillery(KI NO BI GIN 公式・英語版ニュース「A New Chapter Begins」)
- 京都蒸溜所(KI NO BI GIN 公式)
- Number One Drinks(京都蒸溜所運営会社)プレスリリース/共同通信PRワイヤー
- Pernod Ricard
- 京都蒸溜所(KI NO BI GIN 公式・京都蒸溜所について)
- The Kyoto Distillery(KI NO BI GIN 公式・英語版 About The Kyoto Distillery)
- The Spirits Business
- ウィスク・イー(発売当時の国内販売元)
- Drink Planet(2025年・亀岡新蒸溜所ニュース)
- 京都蒸溜所(KI NO BI GIN 公式)
- Bar-Times(2016年9月28日)
- Drink Planet(2016年・京都蒸溜所取材 前編)
- IWSC(International Wine & Spirit Competition)大会公式サイト・International Gin Producer 歴代受賞
- IWSC(International Wine & Spirit Competition)大会公式サイト・2021年プロデューサー・トロフィー発表
- The Absolut Company(ペルノ・リカール グループ)プレスリリース 2025年9月29日
- The Spirits Business(2025年9月)
最終更新:2026-09-28 内容の誤りを知らせる