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GIN BRAND

ヘンドリックス ジン

Hendrick's Gin

ヘンドリックス ジンのボトル

ウィリアム・グラント&サンズが、スコットランドのガーヴァンでつくるジンです。

2種類の蒸溜器の原酒を合わせ、香りの軸のローズとキュウリの香りは蒸溜のあとに加えます。

メーカーは、花の香りが心地よいさわやかなジンだと紹介しています。

銘柄スペック

銘柄名ヘンドリックス ジン(Hendrick's Gin)
誕生1999年
蒸溜所ガーヴァン蒸溜所

ヘンドリックス ジンを購入できるサイト

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目次

  1. ウイスキーの会社が、化学者に託したジン
  2. キュウリは蒸溜すると傷む。だからローズとともに最後に加える
  3. 11種類のボタニカル
  4. 2種類の蒸溜器の原酒を、ほぼ半分ずつ合わせる
  5. ブランドが語る物語
  6. 薬瓶のようなボトル
  7. グレイシーがつくった派生のジン
  8. メーカーが紹介する味わいと、日本での取り扱い

ウイスキーの会社が、化学者に託したジン

つくり手はウィリアム・グラント&サンズ。スコッチウイスキーで知られる会社です。1999年にスコットランドで生まれ、2000年に米国、2003年に英国で発売されました。地元の英国より、米国での発売のほうが3年早かったことになります。[1]

レシピをつくったのは、同社の化学者レスリー・グレイシーです。ヨークシャー生まれで、製薬業界の研究開発部門で香料づくりに携わったあと、1988年にウィリアム・グラント&サンズの技術チームに加わりました。数年後、創業者ウィリアム・グラントのひ孫にあたるチャールズ・ゴードンから依頼が来ます。珍しいカーターヘッド式と19世紀のベネット式という2基の古い蒸溜器で、「まったく違う」ジンをつくってほしいというものでした。条件がひとつありました。英国らしさの象徴として、キュウリとローズを入れることです。[2]

開発ではスコッチウイスキー研究所とともにボタニカルを分析し、グレイシーとジョン・ロスがジンに仕立てました。製造元はグレイシーを、ヘンドリックスのマスターディスティラー(蒸溜の責任者)として紹介しており、The Gin Guildは、レシピが今も最初のヘンドリックスに忠実だと書いています。[1][2][3]

キュウリは蒸溜すると傷む。だからローズとともに最後に加える

香りの軸はローズとキュウリです。ただし、ほかのボタニカルと一緒には蒸溜しません。加えるのは蒸溜のあとです。[4][3]

きっかけは試作の失敗です。The Gin Guildによると、グレイシーがキュウリを蒸溜してみると、黒ずんでしなび、学校で出るキャベツ料理のようなにおいがしたそうです。これでは使えません。そこで、後から加える方法に切り替えました。[3]

扱いは別々です。ローズはブルガリア産ダマスクローズの花びらを圧搾した油をアルコールに溶かして使い、キュウリはオランダ産のものを0℃ほどの低温で蒸溜して香りを取り出します。[5]

キュウリを使っているから、ジントニックには生のキュウリのスライスがよく合う。ブランドは公式サイトで、ヘンドリックスにキュウリを添える理由をそう説明しています。[6]

11種類のボタニカル

蒸溜するボタニカルは11種類。公式サイトは、カモミール、エルダーフラワー、ジュニパーベリー、レモンの皮、オレンジの皮、キャラウェイ、コリアンダーシード、クベバ、アンジェリカルート、ヤロウの根、オリスルートを挙げています。[7][6]

数え方には揺れがあります。酒の専門サイトDifford's Guideは、ヤロウの代わりにメドウスイートを挙げたうえで、製法の解説では後から加えるローズとキュウリまで含めて13種と数えています。[8][5]

2種類の蒸溜器の原酒を、ほぼ半分ずつ合わせる

中心にあるのは、2種類の蒸溜器です。ブランドの公式サイトは、一方は昔ながらのポットスチルで豊かで込み入った味わいの原酒を、もう一方は首の長いカーターヘッド式で繊細な原酒を生むと説明しています。この2つをおおよそ同じ割合で合わせますが、正確な比率は明かしていません。[4][7][5]

ひとつめのベネット式は、1860年代の銅製ポットスチル(単式蒸溜器)で、蒸気の通る外套で釜を温めます。小麦からつくったニュートラルスピリッツ(味や香りをほとんど持たない高い度数の蒸溜酒)を60%に割り、乾燥したボタニカルを入れて14時間以上浸します。時間は気温で変わります。そのまま加熱し、最初に出てくる10リットルを除いてから、平均およそ80%の中溜(ハート)を約500リットル取り分け、度数が60%前後に下がったところで切り上げます。[5]

もう一方のカーターヘッド式は、1948年にジョン・ドーアがつくったものです。こちらは浸しません。穴のあいたかごにボタニカルを詰め、下で温めたスピリッツの蒸気をくぐらせて香りを移します。蒸気で香りを移すこのやり方を、ヴェイパー・インフュージョンと呼びます。かごは、中央の区画を3つに仕切った輪が囲む形で、いちばん下にはオレンジの皮を敷き、その上にほかのボタニカルを重ねていきます。加熱から蒸溜の終わりまではおよそ10時間。最初に出る10リットルは中溜とは分けますが、ボタニカルを通り抜けて洗い、後に続く蒸気に備える役目も果たします。そのあと、約80%の中溜を約500リットル取ります。[5]

ベネット式は浸すだけで14時間以上かかるため、カーターヘッド式1基に対して2基を組み合わせ、両方の原酒の量をそろえています。仕込みは最大1,000リットル。操作は手作業です。[5]

2基の古い蒸溜器は、1966年にチャールズ・ゴードンが、閉鎖されたロンドンのタプロウ蒸溜所が設備を競売にかけたときに手に入れたものです。ヘンドリックス誕生の33年前です。仕込み水には、蒸溜所の奥の丘にあるペンワップル貯水池の水を、ろ過だけして使います。[5]

ブランドが語る物語

ブランドが伝える話では、始まりは庭での午後です。スコッチウイスキーの蒸溜家デイヴィッド・スチュワートが、バラに囲まれてキュウリのサンドイッチをつまみながらジンを飲んでいたときの取り合わせが、ローズとキュウリのジンの発想になったといいます。[1]

庭の主は「ジャニーおばさん」。ウィリアム・グラントの孫娘、ジャネット・シード・ロバーツです。名前を提案したのも彼女だとされます。由来は、屋敷のバラを手入れしていた庭師ヘンドリックです。ロバーツは2012年に110歳で亡くなっています。[1]

ブランドの合言葉は「A Most Unusual Gin(とても風変わりなジン)」。キュウリのサンドイッチとバラ園という英国らしいイメージを、少しとぼけた上流趣味として打ち出してきました。Difford's Guideは、クロッケーやヴィクトリア朝の衣装、蝋で固めた口ひげ、蓄音機が出てくるイベントを紹介しています。[1]

薬瓶のようなボトル

背が低く、ずんぐりしたボトルは、ヴィクトリア朝の薬瓶を思わせる形です。栓はコルク、ラベルは紙。ガラスの45%は再生ガラスで、ボトルはリサイクルに出せるうえ、ブランドは空き瓶を花瓶やランプに作り替える使い道まで勧めています。[1][6]

グレイシーがつくった派生のジン

製造元のページでグレイシーは、着想は園芸店や西海岸の夕日のようなところからも来ると語っています。2013年には新しいボタニカルを探してベネズエラの熱帯雨林を訪れ、持って行った10リットルの小さな蒸溜器で、森の中で蒸溜を始めました。この経験から生まれたのが「アマゾニア」です。夜の庭で花の香りが変わることに気づいて「ルナー」をつくり、ブランドアンバサダーの結婚式で使われたブーケの花から「ミッドサマー・ソルスティス」をつくりました。スコットランド西海岸の夕日から着想した「サンスペル」もあります。[2][3]

キニーネを加えた「オービウム」は2017年に出ました。限定品では、ミッドサマー・ソルスティスが2019年、ルナーが2020年で、その後も「ネプチュニア」(2022年)、「フローラ・アドーラ」(2023年)、「グランド・キャバレー」(2024年)が続いています。米国の公式サイトは、オービウムを、キニーネ、ワームウッド、蓮の花で組み立て直したヘンドリックスと紹介しています。[1][3][9]

派生品もあります。度数48.0%のアブサン、キニーネのコーディアル「クイネタム」、瓶詰めのマティーニ「バッチ&ボトル」が出ています。[1]

メーカーが紹介する味わいと、日本での取り扱い

製造元の言葉では「花の香りが心地よい、さわやかなジン」。繊細な風味の釣り合いがとれた、ほかにないなめらかなジンだとも紹介しています。公式サイトのよくある質問では、ジュニパーのほかにキャラウェイやコリアンダー、エルダーフラワー、カモミール、柑橘の皮などが控えめに重なる、上品でなめらかな口当たりだと説明しています。[4][6]

度数の表示はそろっていません。米国の公式サイトは41.4%、公式サイトのよくある質問は41.1%です。[7][6]

日本では、2025年1月1日からブラウンフォーマンジャパンがウィリアム・グラント&サンズの日本総代理店となり、ヘンドリックスの輸入と販売を担うことになりました。[10]

ボタニカル

色付きはこの銘柄の特徴となるボタニカルです。

つくり手:ガーヴァン蒸溜所

ガーヴァン蒸溜所は、ウィリアム・グラント&サンズがスコットランドのサウス・エアシャーに持つ蒸溜所です。ブレンデッドウイスキー「グランツ」の中心になるグレーンウイスキーをつくるために建てられました。

ガーヴァン蒸溜所の歴史とつくり方を読む >

同じ蒸溜所の他銘柄

よくある質問

ヘンドリックスはどこでつくられていますか。
スコットランドのサウス・エアシャーにあるガーヴァンで蒸溜されています。ウィリアム・グラント&サンズのガーヴァン蒸溜所の敷地に、2018年に発表された蒸溜棟「ヘンドリックス・ジン・パレス」があります。
なぜキュウリを添えて飲むのですか。
ヘンドリックスにはキュウリのエッセンスが加えられています。ブランドは、そのため生のキュウリのスライスがよく合うと説明しています。
ボタニカルは何種類ですか。
蒸溜するボタニカルは11種類。これとは別に、ローズとキュウリのエッセンスを蒸溜後に加えています。

参考資料

  1. Difford's Guide(Hendrick's 歴史)
  2. William Grant & Sons(製造元・レスリー・グレイシー紹介)
  3. The Gin Guild
  4. William Grant & Sons(製造元)
  5. Difford's Guide
  6. Hendrick's Gin(公式サイト FAQ)
  7. Hendrick's Gin(米国公式サイト)
  8. Difford's Guide
  9. Hendrick's Gin(米国公式サイト・コレクション)
  10. ブラウンフォーマンジャパン(プレスリリース、2025年1月6日)

最終更新:2026-09-29 内容の誤りを知らせる